横浜でおいしいコーヒーを楽しむには?
気持ちの良い1日の始まりや、仕事や勉強のお供にコーヒーは欠かせない!という人もいるのではないでしょうか。この記事を書いている私もその1人です。
香りや味わいで日常に彩りを加えてくれるコーヒー。その中でも特に香り高く、味わい深いコーヒーは「スペシャルティコーヒー」と呼ばれています。生産地や農園・農家などを追うことができ、松竹梅でいうと松にあたるようなコーヒーです。その土地の気候や栽培条件によって、香りや味わいにバリエーションがあります。このスペシャルティコーヒーは世界的なブームを経て日本でも日常に定着しつつあります。
ここ十数年、横浜でもスペシャルティコーヒーが盛り上がりを見せ、手に取りやすい価格で質の高いコーヒーを提供する専門店が少しずつ増えてきました。しかもそれらのお店は、日常に溶け込むような形でさまざまな世代の人たちにドアを開いています。
本記事では、コーヒー好きの横浜在住ライターがおすすめする5店舗を紹介します。昔からあるお店から最近できたお店まで、幅広く取材してきました。
目次
PEACH COFFEE(ピーチコーヒー)/ 南区弘明寺

横浜市営地下鉄ブルーライン・京急線の弘明寺駅から徒歩5分。弘明寺かんのん通り商店街の中にあるコーヒースタンドが「PEACH COFFEE(ピーチコーヒー)」です。2024年夏にクラウドファンディングでお店を立ち上げました。
店主の百崎さんは、学生の頃からYOKOHAMA COFFEE FESTIVALを主催し、横浜でコーヒーを通じて人々が交流する機会を作ってきました。PEACH COFFEEで取り扱うコーヒーは、これらのイベントで関わった店舗や、個性のあるお店からのセレクトです。

百崎さん「コーヒーは、産地によって個性や味わいが異なります。スペシャルティコーヒーは、特に産地の特性をはっきりと感じられるので、奥深くておもしろいです。
横浜は、スペシャルティコーヒーを取り扱うお店がまだそれほど多くはありません。産地由来のコーヒーがあることを知ってほしくて、PEACH COFFEEを立ち上げました。
お店で提供するコーヒーは、”まるで○○みたいなコーヒー”と、できるだけイメージしやすく紹介することを心がけています。また、ハンドドリップコーヒーの他、カフェラテやカフェモカ、自家製レモネード、チャイラテ、コーヒーソフトクリームなどメニューに幅をきかせて、さまざまな年代の方に楽しんでもらえるよう工夫しています」
スペシャルティコーヒーは、その土地、農園の生豆をどう解釈したか、焙煎するお店の個性も反映されます。このためPEACH COFFEEでは、できるだけ色々なロースターのコーヒーを紹介したいと考えているそうです。

百崎さん「コーヒースタンドは、日常に近い存在です。休憩中や仕事後など、立ち寄ってくださった方々に、コーヒーを通して日々の安心を提供したり、リラックスできる場所になれたら良いなと思っています。便利で大規模なショッピングモールとは違う、個人商店ならではの良さが商店街にはあります。地域の皆さんとのつながりを大切にしながら、弘明寺でおいしいコーヒーを提供していきたいです」
スペシャルティコーヒーというと、20代30代の流行に敏感な若者が飲むイメージが強かったのですが、地元の高校生も自然にお店でコーヒーを頼んでいる点が印象的でした。どんな人ともコミュニケーションを取れる百崎さんの人柄が成せることだと思います。PEACH COFFEEは、まさにおいしいコーヒーを日常に根付かせてくれるお店ではないでしょうか。
基本情報
PEACH COFFEE(ピーチ コーヒー)
住所:〒232-0067 神奈川県横浜市南区弘明寺町144−1 水谷マンション 105
営業時間:基本的に月曜定休。祝日も営業(振替でお休み)
火〜土:11時から20時
日曜と祝日:11時から17時
URL:https://peachcoffee.studio.site/
https://www.instagram.com/peachcoffee_y/?hl=ja
Bon Coin COFFEE(ボンコアン コーヒー)/ 港南区丸山台
横浜市営地下鉄の上永谷駅から徒歩3分。抜群の立地にある「Bon Coin COFFEE(ボンコアン コーヒー)」は、地元に根ざして35年。代表の関場さんは先代から続く洋菓子店ボンコアンで、パティシエとしてお菓子作りに携わってきました。

関場さん「店内のカフェスペースでお菓子を提供するなかで、よりおいしいコーヒーを飲んでいただきたいと思うようになり、スペシャルティコーヒーに出会いました。香り、味の奥行き、余韻…自分がこれまで飲んできたコーヒーと、全てが違うことに衝撃を受けました」
そこから自力でスペシャルティコーヒーを学び、各種大会やセミナーにも積極的に参加。2012年にBon Coin COFFEEの店舗を新たに構え、自家焙煎も行っています。

お店で扱うコーヒーは、浅煎りから深煎りまで幅広く、「丸山台ブレンド」「いちょう坂ブレンド」など、地元にちなんだブレンドコーヒーのほか、産地の個性をより感じられるシングルオリジンコーヒーも豊富。戸塚や上大岡など京急線沿いから通うコーヒー好きのお客さんも少なくありません。

関場さん「スペシャルティコーヒーの豆は希少で高価なため、できるだけ試飲でお試しいただいたり、お求めやすい100gの商品を置くなど工夫しています。同じ農園や品種でも、精製方法や焙煎の仕方によって表情が変わります。そういった違いを感じることもスペシャルティコーヒーの楽しみ方の一つなので、できるだけ色々なコーヒーを体験していただきたいです」

関場さん「地元なので、顔見知りのお客さんばかりです。小学生が授業の一環でお店を訪れてくれたり、中学生が職業体験に来てくれるのも嬉しいですね。現在、お店で働いてくれている人たちも地元の方が多いです」

子どもから大人まで、さまざまな年代の人が店の前を通り過ぎます。コーヒー愛好家にもそうでない方にも、丁寧にコーヒーの魅力を伝えようとしている点が印象的でした。今後も、地元に密着したお店でありたいそうです。
基本情報
Bon Coin COFFEE(ボンコアン コーヒー)
住所:〒233 – 0013 神奈川県横浜市港南区丸山台2丁目6-1
営業時間:9時~18時(定休日:月曜・不定休)
URL:https://boncoin-coffee.com/
Tsukikoya Coffee(ツキコヤ コーヒー) / 中区山下町
横浜中華街の朱雀門のすぐ側に位置し、横浜付近のコーヒー愛好家だけではなく、海外にも多くのファンを持つ「Tsukikoya Coffee(ツキコヤ コーヒー)」。本店は横須賀市の追浜の山の上にあり、そこでオーナーの田村さんが焙煎したコーヒー豆を販売しています。


田村さん「横浜中華街店をオープンしたのは2018年。当時はまだスペシャルティコーヒーを扱うお店が横浜には少なく、街の雰囲気も好きだったので、この辺りでスペシャルティコーヒーのお店を始めてみようと思ったことが始まりです」
店内に入ると20種類近くのコーヒーが並び、試飲が可能です。扱う豆はどれも品質が高く、浅煎り、中煎り、深煎り、種類も様々。さらに、ライチやストロベリーなど果実の香りがするジュースのようなコーヒー、ウィスキーのようなコーヒーなど、他ではなかなか手に入らない珍しいコーヒーも扱っています。
「この品質のコーヒー豆をこの価格で買えるお店は他にない」との評価もよく耳にするお店です。


田村さん含む店員さんの人柄もこの店の魅力の一つです。「ここでは肩の力を抜いて、話をしていいんだ」という気持ちにさせてくれます。彼らがつくる穏やかな雰囲気の影響からか、お客さん同士での会話も自然に始まっていきます。

田村さん「日々の生活の中で、寂しさを感じることが誰しもあるはずです。でも、時間の空いた時にスマホを眺めるのではなく、Tsukikoyaにいけば誰かしらがいて、話ができる。そんな場所でありたいと思っています」
おいしいコーヒーを飲みたい時、ふと立ち止まって自分の心を休めたい時は、ぜひTsukikoya Coffeeを訪れてみてくださいね。
基本情報
Tsukikoya Coffee(ツキコヤ コーヒー)
住所:〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町106
営業時間:毎月変更(不定休) 11時〜19時30分
URL:http://tsukikoya.com/
https://tsukikoyacoffee.shop-pro.jp/
横浜元町珈琲 / 中区大和町
JR京浜東北線の山手駅から徒歩4分に位置する「横浜元町珈琲」。2009年10月に開業し、2024年に15周年を迎えました。

店内に入ると、鮮やかな赤い焙煎機が目に飛び込んできます。2009年の開業時に特注カラーで購入したもので、お店のシンボルになっているそうです。

取り扱うコーヒーはどれも品質が高く、地元の人だけでなく他県にもファンが。

横浜元町珈琲は、定期的にコーヒー教室を実施しています。せっかくお店を訪れてコーヒーを買ってもらったのだから、自宅でもおいしく飲んでもらいたい、コーヒー文化を広めていきたいという気持ちから始めたそう。
コーヒー教室は約2時間半。前半が座学で、後半は抽出の実践です。参加者がショーケースのなかから豆を選び、コーヒーを淹れます。取材当日は2名が参加。同じエチオピア産で精製方法が異なる豆、産地が異なる豆など、数回抽出を行い、飲み比べをしていました。講座全体を通して丁寧にコーヒーの知識を伝えている姿は、真摯にコーヒーに向き合う小野さんの人柄をよく表しているように思います。



小野さん「お店には、日々の生活のなかでおいしいコーヒーを飲みたい方が立ち寄ってくださいます。もちろんネット通販や卸売のお客さまもいらっしゃいますが、まずは地域のみなさんに愛していただかないことには、商売は立ち行かないと思います。これからも、地域の皆さんに愛されるお店でありたいです」
横浜元町珈琲のあるエリアは、散歩とショッピングに最適な場所です。おだやかな街の雰囲気を感じながら、ぜひコーヒーを買いに訪れてみてください。
基本情報
横浜元町珈琲
住所:〒231-0846 神奈川県横浜市中区大和町2丁目48
営業時間:12時〜19時、水・日・祝日休み
URL:https://motomachicoffee.com/
https://x.com/motomachicoffee
https://www.instagram.com/motomachi_coffee/
TERA COFFEE(テラコーヒー)/ 神奈川区・港北区
東急東横線沿線に3店舗を構える「TERA COFFEE(テラコーヒー)」。それぞれ白楽駅から徒歩1分、妙蓮寺駅から徒歩約4分、大倉山駅から徒歩1分、仕事帰りにもふらりと立ち寄れます。


取り扱うコーヒー豆は中煎りから深煎りが中心で、一番人気は『深煎りブレンド』。さまざまな産地のコーヒー豆を、満遍なくバランスよく入れたブレンドです。

オーナーの寺嶋さんは元々は全く違う業種で会社員をしていました。「いつか自分で会社を経営したい」と考え、サラリーマンを卒業。2004年に地元・横浜でTERA COFFEEを立ち上げました。
店舗ではコーヒーだけでなく、洋菓子も販売しています。独立時にフランス菓子のお店で修行し、「コーヒーに合うスイーツ」をコンセプトに提供しているそうです。


寺嶋さんが焙煎したコーヒーは、まろやかで優しい。コーヒー豆のそれぞれの個性を保ちながらも、どの年代にも飲みやすいコーヒーです。
過去に産地にも実際に足を運んで、ご自身で買い付けを行ったこともあるそう。
寺嶋さん「パナマ、コスタリカ、エルサルバドル、エチオピア…色々な国に行きました。歩いて行けるような距離でも『危ないから必ずタクシーを使うように』と言われたり、鉄格子越しに商品を販売したりしている国もありました。それでも産地に足を運んだのは、せっかくコーヒー屋をやるのだから実際に産地に行ってみたい、どうやって作られているのか知りたいという好奇心、そして出来るだけ品質の高いコーヒーがほしいという、宝探しのような気持ちがあったからでした」
いまもおいしいコーヒーを提供したいという気持ちは変わらず胸にあります。
寺嶋さん「お客さんに『ありがとう』と言っていただけると、仕事をしている意味があると感じます。これからも地域の方々のために、おいしいコーヒーを提供していきたいです」
取材時にクリームチーズとエスプレッソで作られたコーヒー風味のチーズケーキをいただいたところ、チーズもコーヒーの風味が明確に感じられました。
コーヒーがおいしいのはもちろんですが、お店を訪れたらぜひスイーツも試してみてほしいです。
基本情報
TERA COFFEE 白楽店
〒221-0065 横浜市神奈川区白楽129番地
営業時間:10:00〜19:30
定休日:年中無休
URL:https://teracoffee.jp/
https://www.instagram.com/tera_coffee/
https://www.instagram.com/terahakuraku/
TERA COFFEE 妙蓮寺店
〒222-0011 横浜市港北区菊名 1-12-11
営業時間:10:00〜19:00
定休日:年中無休
URL:https://www.instagram.com/teramyorenji_online/
TERA COFFEE 大倉山店
〒222-0037 横浜市港北区大倉山1丁目3-20
営業時間:10:00〜19:30
定休日:年中無休
URL:https://www.instagram.com/teraokurayama
※それぞれの店舗で年始と夏季休暇、マシンメンテナンス休業あり
近年のブームを経て、日常に定着しつつあるスペシャルティコーヒー。
今回紹介した5店舗以外にも、横浜には素敵なスペシャルティコーヒーのお店やカフェ、喫茶店がたくさんあるので、足を運んでみてはいかがでしょうか。コーヒー好きはつながっているので、自分の住むエリアの近くにおすすめのお店があるかどうか、聞けば教えてくれるはず。店主と地元ならではのコミュニケーションをとってみるのも楽しそうです。皆さんの横浜での生活の側に、おいしいコーヒーがありますように。
この記事を編集した人
ペンネーム:ナオト (横浜在住歴:40年)
横浜の地域メディアやウェブコンテンツのライターとして活動中。趣味はドライブで、横浜市内のほとんどの道路はすべて頭に入っています。市内のいろんな場所へ出かけて、新しい道、新しい建物を見るのが好きです。小学生の娘と幼稚園の息子の子育て中です。