「横浜市だから自分らしくいられる」仕事も趣味も、心も充実する暮らし~イラストレーター・アサバマリエさん

横浜市で暮らして10年が経つ、イラストレーターのアサバマリエさん。住み始めたのは、夫の実家の近くだったからという理由だったけれど、今ではここ以外での暮らしは考えられないほどに横浜市が気に入っているそう。仕事も趣味も心から楽しんでいる、アサバさんの横浜ライフとは?

アクティブに動ける自由さと豊かな自然が横浜市の魅力

大さん橋からの眺望の画像
横浜を象徴するスポットを一望できる大さん橋からの眺望。都会的でありながら、自然も感じられる美しい風景が広がっていることも横浜市の魅力だ。

富山県出身のアサバマリエさんは、大学進学をきっかけに上京。結婚するまで横浜市とは縁がなかったというが、住んでみたらそこは、自分がもっとも自分らしくいられる場所だった。

「東横線沿いの最寄り駅は仕事の打ち合わせなどで東京へ出るのにも便利ですし、少し歩くとJ Rの新横浜駅に出られるので、富山へ帰省する際もラクです。休日に急に思い立ってパートナーとプチ旅行に出かける、なんてライフスタイルも交通の便が良いからできるのだと思います。

それでいて横浜市のいいところは、私の大好きな自然が身近にあること。アクティブに行動できるのに都内のように混雑はしていなくて、落ち着いた気持ちで日々を過ごすことができます」

菊名池公園へ向かうアサバさんの画像
菊名池公園へ向かうアサバさん。菊名池公園は水質が良く、夏にはカワセミを見かけることもあるという。

気の利いた専門店で日常のお買い物から手土産まで

「TERA COFFEE and ROASTER」の妙蓮寺店の画像
横浜市内に3店舗を構える「TERA COFFEE and ROASTER」の妙蓮寺店。毎日お店で丁寧にローストするコーヒーは絶品で、店内に入ると、コーヒーの豊かな香りが広がる。写真提供:TERA COFFEE and ROASTER
「TERA COFFEE and ROASTER」店内の画像
「TERA COFFEE and ROASTER」ではオリジナルのブレンドも提供している。アサバさんはその中のひとつで、横浜の港をイメージした「横浜ブレンド」をチョイス。モカ独特の香りが魅力で、お土産やギフトにもぴったり。

自宅周辺には、お散歩の途中に立ち寄りたくなるオシャレなカフェや専門店が点在し、アサバさんの日常を彩っている。

「今日、立ち寄った『TERA COFFEE and ROASTER』はコーヒー豆の種類が豊富で選ぶ楽しみがありますし、夫婦で通い詰めている『Wine Garage』では、お店の方とお話ししながらその日の気分や料理に合うワインを購入しています。

他にも、一見、普通の住宅街の中にパン屋さんやカフェ、ご飯屋さんがあるので、近所を散歩しているだけでも楽しいです。どのお店も素材やセレクトにこだわっていて、ちょっとした手土産なども地元で調達できてしまう。普通の日常の中に偶然の素敵な出会いや気付きがあって、生活の中身はとても濃いと思います」

TERA COFFEE and ROASTER 妙蓮寺店
所在地 神奈川県横浜市港北区菊名1丁目12-11

自然溢れる菊名池公園は、いちばんのお気に入りスポット

菊名池公園でゆったりくつろぐアサバさんの画像
菊名池公園でゆったりくつろぐ。この穏やかな時間が創作のヒントに。

妙蓮寺駅からすぐの場所にある菊名池公園は、アサバさんが大切にしている場所のひとつ。
「菊名池公園は、仕事の合間の息抜きによく足を運びます。大きな池を眺めながら、時にはカモの親子を見守ったり、珍しい水鳥に魅了されたり。豊かな自然環境とそこに生きる動物たちのおかげで、ぐちゃぐちゃになった思考もモヤモヤとした気持ちも全部リセットされます。

ベンチに座ってテイクアウトのコーヒーを飲んだり、気持ちの良い季節にはクラフトビールを片手に芝生に寝そべってみたり。東京にいた頃は、こんな暮らしをしている自分は想像できませんでしたけど、今ではこれが当たり前の日常です。こうして改めて振り返ってみると、自分が恵まれていることを実感しますね」

菊名池公園
所在地 神奈川県横浜市港北区菊名1丁目8-1

アサバさんの個展の様子の画像
アサバさんの個展の様子。日々の散歩や菊名池公園でのんびりしている時に出会った動物たちを思い出し、作品に描くことも増えたという。
動物や子どもなどを繊細な描写と大胆な構図で描くアサバさんの作品の画像
動物や子どもなどを繊細な描写と大胆な構図で描くアサバさんの作品からはやさしい視線が感じられる。

動物をモチーフにした作品が多いアサバさん。菊名池公園の鳥たちや豊かな自然の移ろいだけでなく、横浜市の暮らしの中には創作活動にインスピレーションを与えてくれる環境がたくさんあるという。

「自宅周辺では、犬のお散歩をしている方とすれ違うことが多く、この町で暮らすようになってから、イラストでも犬を描く機会がとても増えました。

少し歩いたところに、日本神社百選にも選ばれた篠原八幡神社があるのですが、そこもお気に入りの場所です。坂の上にあるので横浜が一望できるビュースポットでありながら、ふと木の上に視線をやれば、元気に歩き回るリスを見つけたり、創作活動の刺激にもなっています」

故郷の風景に重なる、海のある町に暮らす幸せ

ベイブリッジとアサバさんの画像
海の風を感じながら、故郷を想う。

みなとみらいや横浜中華街、ベイサイドエリアに広がる横浜らしい風景もまた、アサバさんにとってはかけがえのない日常だ。

「最寄り駅から10分ほど電車に乗るだけで、日本大通り駅から広がる都会的で洗練された街並みに身を置くことができます。そして、そこから少し歩けば、私の大好きな海のある風景が広がっている。

私は富山県出身ということもあって、定期的に海を見に行きたくなるのですが、ふと思い立った時に気軽に行ける距離に海があることが、心の支えにもなっています。以前はランニングが趣味で、自宅から走って山下埠頭までよく来ていました。今は山下公園から臨港パークまで、港からの風を感じながら、綺麗に舗装されたベイサイドエリアの海沿いの道を1時間ほどかけて散歩するのが私の大切な時間です。

そういえば以前、こちらに遊びに来た両親に、横浜から出港する富山行きの船のチケットをプレゼントしたことがあるんです。そうしたら、両親が船旅にハマってしまって。今では二人でいろいろな場所を船で旅しているみたいです」

北仲ブリック&ホワイトの画像
横浜市の歴史的建造物に認定された建物を保存・復元した「北仲ブリック」と「北仲ホワイト」からなる「北仲ブリック&ホワイト」。歴史や文化と都会的な街並みが共存する横浜を歩いていると時代旅行をしているかのような気分に。

横浜市には、歴史ある建造物を活かした商業施設が複数ある。横浜らしさを生み出している新旧の建物が共存する街並みもまた、ここに住む理由のひとつなのだそう。

「ベイサイドエリアには洋服などを買いに来ることが多いのですが、街並みに合うようにオシャレして出かけるので、それもいい気分転換になっています。

先ほど立ち寄った『北仲ブリック&ホワイト』もそうですし、横浜・大さん橋へと向かう日本大通りには歴史的建造物を保存・復元した建物が立ち並んでいて、お店を覗きながらてくてくと歩いているだけでたくさんの刺激をもらえます。

横浜市の暮らしが心地いいのは、穏やかな日常と文化的な刺激の調和がとれているからなのかもしれません。いくら日々が快適でも単調な暮らしが続くようでは退屈に感じてしまうと思うんです。でも、よく目を凝らしたり、少し足を延ばしたりすれば、非日常の空間が広がっていて、それだけで刺激をもらえる。その環境が、自分の中でとてもバランスがいいんだと思います」

北仲ブリック&ホワイト
所在地 神奈川県横浜市中区北仲通5丁目57-2

美術館など知的好奇心を満たすスポットもたくさん

横浜美術館の画像
2024年にリニューアルした横浜美術館。建築家・丹下健三が手がけた建物の、その佇まいは圧巻。2025年2月には全館オープンとなり「おかえり、ヨコハマ」展が開催される。
作品を鑑賞するアサバさんの画像
作品を鑑賞するアサバさん。ギャラリー9展示風景 スタニスラフ・リベンスキー/ヤロスラヴァ・ブリフトヴァ 《アーチ雲》1991年 横浜美術館蔵

横浜はアートの街。パブリックアートが至るところにあり、みなとみらいエリア全体で60点を超える作品が街を彩り、街歩きをより楽しいものにしてくれている(横浜みなとみらい21パブリックアートマップ)。

「仕事柄、アートに触れる機会は大切にしたいですし、純粋に絵やアート作品を見て回る時間が好き。旅先でも必ず美術館に立ち寄るのですが、身近に横浜美術館のような格式ある美術館があるのはうれしいです。いよいよ全館オープンをするとのことなので、これからどんな展示がされていくのか気になりますね。

街歩きの途中で、横浜美術館のフリーで入れる『じゆうエリア』を覗くだけでも楽しいですし、常設のパブリックアートも多い。現代アートの国際展『横浜トリエンナーレ』の時期には駅や街中、さまざまな場所にアートが展示され、横浜全体がミュージアムのようになるんです。

アート以外にも、横浜スタジアムで野球を観戦したり、映画館も充実、音楽が好きな人にはライブ会場もたくさんある。大人の知的好奇心を満たすのに、これほどいい環境はないと思います」

週末は夜景を眺めながらデート気分でディナーを

食べることもお酒も大好きというアサバさんの画像
食べることもお酒も大好きというアサバさん。横浜の新たなグルメアドレスを探し、夫婦で出かけるのも楽しみのひとつ。

週末の夜には、夫婦でドレスアップしてベイサイドエリアへ出かけ、食事を楽しむことも。この日訪れたのは、横浜ハンマーヘッドにある「Del Mar COMEDOR Y TERRAZA」。スペインのクラシックメニューを現代風にブラッシュアップした料理が人気で、異国情緒感じる横浜を象徴するお店だ。

「Del Mar COMEDOR Y TERRAZA」の料理の画像
「Del Mar COMEDOR Y TERRAZA」の料理。写真中央「小ヤリイカのイカ墨フィデウア」(小・3,190円)。写真右上から反時計回りに「ピンチョス盛り合わせ 3P」(1,320円)※2人前、「ズワイガニのパエージャ」(小・3,850円)、「真ダコのガリシア風」(小・1,815円)、「イベリコ豚の生ハム盛り合わせ」(小・1,870円)、「ムルシア風サラダ 」(1,485円)。
クラフトビールの画像
横浜といえばクラフトビール。「Del Mar COMEDOR Y TERRAZA」ではクラフトビールも生ビールでいただける。近年人気のクラフトジンも。

お店のテラスからは、2024年の日本新三大夜景にも選ばれた横浜市の夜景を眺めることができる。都会の中心部で美しい夜景が見れるのも横浜ならではだ。

「私にとって、横浜の夜景はご褒美です。大きな仕事の区切りがついた時には必ず夜景を見に来て、『私、頑張ってるな』って自分を褒めます(笑)。

夫婦で食事をする時も、店内の美しい装飾と夜景、目の前には大好きな海というシチュエーションで、どこかへ旅行に来たような気分が味わえます」

Del Mar COMEDOR Y TERRAZA
所在地 神奈川県横浜市中区新港2丁目14-1 横浜ハンマーヘッド 2F

横浜の夜景の画像
首都圏では史上初となる日本新三大夜景に選出された横浜市。アサバさんがご褒美と表現するのも頷ける。
ヨコハマエアキャビンの画像
桜木町と新港地区をつなぐ「ヨコハマエアキャビン」。夕食後は夜景を上空から眺めながら帰るというのも贅沢。写真提供:泉陽興業株式会社
ヨコハマミライトの画像
2月9日まで開催されていたイルミネーション「ヨコハマミライト」。2018年から冬に毎年開催されていて、グランモール公園を中心に全長1.5kmにも及ぶイルミネーションが横浜の街を彩る。

おいしい食事を堪能した後は、横浜の夜景に包まれながら家路へ。この日は、横浜の冬の風物詩にもなっているイルミネーション「ヨコハマミライト」が街を華やかに彩っていた。

「横浜は、海と空が広くて、落ち着いた華やかさの中、お店を出てからもディナーの余韻に浸ることができるのがまたいいんです。一年を通じて、アートイベントや音楽イベント、そしてこうしたイルミネーションなど、さまざまな催しが行われているので、ちょっとしたお買い物や食事の際に、こうして晴れやかなイベントに思いもよらずふれることができるのも新鮮だし、ワクワクします。これも横浜ならではですよね」


横浜市は、穏やかな日常も、特別な休日も、夫婦の大切な時間ももたらしてくれる特別な場所。

アサバさんが、いつでも自分らしく、心地よくいられるのは、その日の自分が望む過ごし方をこの街がかなえてくれるから。ここから離れる理由が見つからないというアサバさんの横浜ライフはこれからも続いていく。

アサバマリエ(アサバ・マリエ)
富山県富山市出身、神奈川県横浜市在住。多摩美術大学絵画学科油画専攻 卒業。グラフィックデザイナーとしてデザイン会社で勤務した後、イラストレーターとして独立。繊細な表現と大胆な構図で子どもや動植物などを描く。趣味は国内外への旅行、ワイン、野生動物の観察、スポーツ観戦。2022年 第40回ザ・チョイス『年度賞』 受賞、2023年 第18回TIS公募『大賞』、『イラストレーション編集部賞』 受賞。『よむよむかたる』(著 朝倉 かすみ/文藝春秋)、『臨床のスピカ』(著 前川ほまれ/U-NEXT)、『枕草子』(上下巻)(著酒井順子/河出文庫)などの装画を手がける。

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