横浜市在住のおでかけ好き地元ライターが、とっておきの横浜の魅力を、地元民目線で紹介します。
横浜には、日本最大級の水族館があります。それが金沢区の「横浜・八景島シーパラダイス」。ここには、テーマが異なる4つの水族館のほかにも、遊園地やレストラン、ショッピングモールなどもあり、一日中楽しく過ごせるレジャースポットで、地元では“シーパラ”の愛称でおなじみです。
そんなシーパラが、子どもたちを中心に広く伝えているのが“海育”。海に囲まれた場所だからこそ、親子で体感できる学びが横浜にはあります。
今回は、シーパラで体験できる“海育”についてご紹介します。
目次
水族館が4つも?!横浜・八景島シーパラダイスの特徴

横浜市金沢区八景島にある「横浜・八景島シーパラダイス」。水族館、遊園地、ショッピングモール、ホテルなどが一体となっており、1日を通してさまざまな楽しみ方ができます。
最大の特徴は、それぞれにテーマが異なる4つの水族館があること。
最も規模が大きいのは、約700種類、12万点の生きものたちが生活する水族館「アクアミュージアム」。
また「ドルフィン ファンタジー」では、自然の光が降り注ぐアーチ型の水槽を、まるで海底散歩する気分でイルカが悠々と泳ぐ姿を観察できます。
イルカやオタリア、ペンギンなどを間近で見たり触れ合ったりできる「ふれあいラグーン」と、周辺に広がる自然の海を活かした水族館「うみファーム」もあります。


そのほか、ジェットコースターから小さな子どもも楽しめるアトラクションまで揃う遊園地「プレジャーランド」もあり、レストランやおみやげショップも充実しています。
「うみファーム」で、魚を釣って食べることで命の大切さを知る
4つの水族館の中で最も新しいのが「うみファーム」。ここは「海育(うみいく)」をテーマとした体験型水族館です。

そもそも「海育」とは? 「横浜・八景島シーパラダイス」の広報・長谷川さんに聞いてみました。
「『海育』とは、『海』+『食育』から生まれた造語です。
近年、海の環境は、地球温暖化や海洋汚染などさまざまな問題を抱えています。『海育』は、次世代を担う子どもたちをはじめとする皆さんが、海の生きものたちを「観る」「知る」「獲る」「食べる」ことを通じて海の環境の大切さを学び、考え、行動することを目的としています」
そんな「海育」を体感できる場所が「うみファーム」。周囲に広がる自然の海を活用し、海を身近に感じて、そこに暮らす生きものについて考えられるさまざまな体験が用意されています。

「うみファーム」学芸員・飼育技師の野村さんは、「自然の海にこんなに身近に接することができる水族館は、海に浮かぶ八景島ならでは、です」と話します。早速、施設内を案内していただきました。

「うみファーム」は、魚釣りができる「フィッシャーマンズオアシス」と、自然の海ならではの生きものや環境を観察できる「オーシャンラボ」の2エリアに分かれています。まずは「フィッシャーマンズオアシス」から巡りましょう。

入口を入ると、柵で囲われた水辺が広がり、楽しそうな声が聞こえてきます。ここ「フィッシャーマンズオアシス」はコンセプトの「獲る」「食べる」にあたるゾーンで、自然の海に設けられた生け簀で魚釣りができます。



3月現在、釣れるのはギンザケとマダイ。4月からはマアジも釣れるようになるそう。施設が厳選した産地から運んだ魚が海の生け簀で飼育されています。
自然の海を利用したこの生簀では、季節によって海水温が変わるため、釣れる魚種が異なるのです。季節で異なる魚の味などについて子どもたちが学ぶきっかけにもなりそうですね。
入場料のほかに、釣った魚の種類と数に応じて料金(調理代込み)がかかり、持ち帰りはできません。魚の命をいただくので、あくまで自分たちが食べきれる分だけを釣ることを重視しているからです。これは自分たちで釣りに行くときにも役立ちそうな経験です。

釣った魚は、向かいの建物にある「うみファームキッチン」で、フライやグリルにしてもらって食べられます。
「釣りたての魚を食べる機会は貴重ですよね。身がふっくらしていてとてもおいしいですよ」と野村さん。
天然の海とは異なり、誰でも簡単に魚を釣り上げられるので、「釣りのデビューにもおすすめです」と野村さん。
「魚嫌いだった子がここでの魚釣りが楽しくて魚好きになったというお声も。魚を獲って食べることで命の大切さを学んでいただけたら嬉しいです」
「うみファーム」では、大きさや漁獲量が安定しない、調理に手間がかかるなどのさまざまな理由で、価値がつかずに廃棄されてしまう“未利用魚”を販売する「おさかなマルシェ」 も不定期で開催。ここで購入した魚も「うみファームキッチン」で食べられます。

魚釣りゾーン「フィッシャーマンズオアシス」の隣には、水深の浅い「マリンビオトープ」があります。
ざぶざぶと水の中を歩いてヒトデに触ったり、ボラなどの魚の素早い動きを観察したり、生きものが暮らす海を自然に近い形で体感できます。
自然の海が広がる「うみファーム」で、生きものを観察し、環境を知る

「うみファーム」のコンセプトの「観る」「知る」にあたるゾーンが「オーシャンラボ」です。周辺に広がる自然のままの海と、そこに暮らす生きものを観察できるエリアです。
この日はクロダイの群れを発見! 「近年、海水温の上昇により、東京湾全域にクロダイが増えていることがわかってきています」と野村さん。

さまざまな種類のクラゲも見られました。季節によって観察できるクラゲは異なり、冬から春にかけて海水温が上がってくると、たくさんのクラゲが見られるのだそう。


その日やってきたクラゲを展示する水槽もあります。この日はヒトモシクラゲが入っていました。ふわふわ漂う姿が神秘的です。

いちばん奥の壁は「岸壁マンション」。まるでマンションのように、たくさんの生きものが暮らす岸壁を観察できるエリアです。岸壁と通路の隙間をのぞくと…

小さなクサフグの群れがいました! じっと潜んでいる様子が愛らしいです。

壁に張り付くように潜んでいたのは、赤いマナマコ。黒色のマナマコも見られました。
生きものが見つかると思わず声を上げてしまいます。この日は満潮に近いタイミングでしたが、引き潮の時間にはより多くの生きものが見られるそうです。

次は「人の暮らしと東京湾」。人々の暮らしが海に与えるさまざまな影響について紹介するエリアです。
例えばこの筒は、この近くの金沢区小柴の特産であるアナゴの漁に使われるもの。狭い穴の中を好むアナゴの習性を利用してこの筒で捕獲するのだそうです。金沢区がアナゴの産地だとは知りませんでした!

こちらは東京湾沿岸の海底をイメージした水槽。実際に海に潜って拾ってきたプラスチック製洗面器や帽子などのごみの間を魚が泳いでいます。実際の海底もこんなふうなのかと思うと驚きです。
「東京湾に潜ると、びっくりするほどの量のごみが見つかるんですよ。この水槽を、海洋プラスチックごみの問題について考えるきっかけにしてほしいです」(野村さん)

最後は「いのち輝くアマモの森」のコーナー。この緑の細長い海草(うみくさ)が「アマモ」です。水質の浄化や二酸化炭素削減に役立つほか、魚が卵を生んだり、アミメハギなどの小さな魚たちが身を隠したりできることから「海のゆりかご」と呼ばれています。
「小さな海草ですが、こうした海草たちは食物連鎖の土台となる大切な存在。東京湾では昔はたくさん生えていたそうですが、水質悪化などの影響で、今では数えるほどの場所にしか生えていません。今、このアマモの藻場を再生しようという動きが各地で広がっています」(野村さん)
「うみファーム」では、こうした東京湾の環境や、そのとき観察できる生物について詳しく解説しているパネルも設置されているので、訪れた際はぜひ見てみてください。
基本情報
横浜・八景島シーパラダイス
住所:横浜市金沢区八景島
URL:https://www.seaparadise.co.jp/index.html
開館時間: 日によって営業時間が異なります。詳しくは公式サイトを確認
休館日:なし
料金:アクアリゾーツパス(水族館4施設観覧チケット)大人・高校生3500円、小中学生2200円、幼児(4歳以上)1200円、65歳以上3000円 ※その他アトラクションエリアも含めたチケットなどもあり
まとめ
海が身近にある横浜ならではのユニークな水族館「横浜・八景島シーパラダイス」。多彩な海の生物を観察できる施設が充実しているうえに、身近な東京湾に暮らす生きもののことや生きものとの関わり方を知り、海について考えられる「うみファーム」もあります。
「魚を釣って食べたり、海の生きものを観察したり、海洋環境について考えたりして、子どもたちに海とともに成長してもらえたら」と野村さんも話す通り、「うみファーム」には、本や映像だけでは得られない豊かな学びがあります。
横浜で子育てすれば、親子でのおでかけはもちろん、学校行事などでも「横浜・八景島シーパラダイス」に訪れる機会は多くなるはず。
ここを訪れて海に親しむことで、子どもたちの環境意識や海への感謝も育まれていきそうですね。