横浜市在住のおでかけ好き地元ライターが、とっておきの横浜の魅力を地元民目線で紹介します。
横浜の暮らしと共にある横浜市中央卸売市場本場は海辺に面した神奈川区にあります。
全国の魚介類が集結しているこの市場の水産仲卸棟では、毎週土曜日に一般開放が行われ、市民のみなさんに市場を身近に感じていただき、魚のポテンシャルのすばらしさも発信しています。
今回は市場内にあるマグロを専門に取り扱う仲卸業者「菊平」の荒井さんから、横浜で魚に親しみ、魅力をもっと感じてもらう取り組みについてお話を伺いました。

目次
横浜グルメの魅力①市場の一般開放に行ってみた!
ハマの台所と称される横浜市中央卸売市場本場では、毎週土曜に水産仲卸棟を一般に開放しており、地元住民をはじめ観光客にも市場の魅力を体験してもらえるよう、さまざまなイベントを行っています。
第一土曜日はマグロの解体ショー、第三土曜日は市場探検隊など、市場ならではのイベントが開催され、多くの来場者でにぎわいます。
取材に訪れた日は、人気イベントのマグロの解体ショーが開催されていました。
小さいお子様連れの家族など、たくさんの来場者が見守る中、人の背丈ほどもある大きなマグロを「よいしょよいしょ」と威勢のよい掛け声とともに、長くて切れ味抜群のマグロ包丁で手際よくさばいていく様子は圧巻!
見事な包丁さばきを眺めながら、解体されて冊になり、スーパーやお寿司屋さんに並び、私たちに届くという流通経路も頭に浮かんできます。
マグロを知り尽くしたプロの手による解体ショーは、ただのエンターテインメントではなく、魚の大切な命をいただき、マグロを育てた海への感謝へとつながる食育イベントでもあると感じました。

横浜グルメの魅力②一般開放で魚をもっと身近に

取材に訪れた日は、水産物のみならず、キャベツや大根などの野菜や切り花などの販売もされ、多くの来場者が普段の買い物とは違う市場での買い物を楽しんでいました。
そんな姿を目にしながら、ふと、本来は業務用の買い出しをする人しか足を踏み入れられない市場をなぜ開放したのだろう? と素朴な疑問が…
「市場の開放は、もともとは近隣住民との関係を築くことを目的として始めたんです」と荒井さん。
今では、横浜市民から観光客までもが市場に足を運ぶようになり、たくさんの人々が横浜の食文化に触れる機会になっています。
多くの方に訪れてもらえることに喜びつつも、荒井さんは「アジの開きって朝ごはんに食べる人が多いですよね。ところが今どきはアジの開きどころか朝ごはんそのものを食べない人が増えて、魚を食べる機会が減っている気がします。海外では、どんどん魚を食べるようになっているのに…」と昨今の魚離れを危惧しています。
「『もっと魚を食べてほしい!』そんな願いから、市場の存在を活かした食育活動や魚食普及の場へと市場が進化しているんです」。


横浜グルメの魅力③もっと魚を食べてほしい~魚食の普及と食育活動~

横浜市中央卸売市場では、子供たちに魚の魅力をもっと知ってもらおうと、市内の小学生を招いた市場見学や出前授業を開催。魚の種類や流通の仕組みなどを教える食育活動を行っています。
出前授業で魚を持っていくとね、子どもたちが嬉しそうに魚を触るんですよ。」と目を細め、屈託のない笑顔で話す荒井さん。
子どもたちが実際に魚に触れ、調理することで食文化への興味がわき、理解を深めることにつながると荒井さんは考えます。「魚をもっと好きになって欲しい。そして好きになってもらうには魚がおいしいと思ってもらうことが大事」とも。
魚について子どもたちが体験を通じて学ぶ機会があることは、海が身近な横浜市だからこそかもしれません。
市場では、魚を身近に感じてもらうために、市場事業者が連携して「魚食普及推進協議会」を設立し、水産仲卸棟の一般開放の運営のほか、調理教室や魚のさばき方教室の開催、魚に関する出前授業など、魚を食べる文化を継承するため精力的に活動しているそうです。
横浜グルメの魅力④顔なじみになって市場の通に
市場を訪れる楽しみのひとつが、新鮮な魚を手に入れること。でも魚の鮮度を見極めるのは簡単なことではありません。魚の目利きができたり、魚を丸ごとさばけるようになれたら魚選びがもっと楽しくなるのでは?
「市場に行けば『安く』魚が手に入ると思っている方も多いかもしれませんが、それだけではないです。市場に来ていただければ、魚の選び方や保存方法をプロから直接教えてもらうことができるんです」と荒井さんからうれしいお答えが!
魚の目利きになるには、何度も通って馴染みの店を作るのがおすすめだそう。「顔見知りになればより良い情報を得られるだけでなく、魚の食べ方の提案もしてもらえるんです。だからぜひ市場の通になってください」。
横浜グルメの魅力⑤横浜ならではの魚が並ぶ


市場の魚は言うまでもなく鮮度が命。朝獲れした魚が市場に並ぶことを、業界では「追っかけ」というそうですが、実際に「追っかけ」は市場にあるのでしょうか?
「市場を訪れれば、全国各地の魚はもちろん、地元横浜ならではの『追っかけ』に出会えますよ」。
横浜市場の近隣には、東京湾や相模湾の豊かな漁場があるので、朝獲れの魚が当日の競りに間に合います。稲取のキンメダイや東京湾のタチウオなど、地域ごとに特色のある魚がそろいます。
荒井さんのインタビュー後、早速、魚の購入にチャレンジ。

まず、たくさんの種類の魚が軒先に並ぶお店を見つけ、「今日はどの魚がおすすめですか?」とお店の方に声をかけてみたら、「ホウボウがいいよ。刺身にしたらめちゃくちゃうまいから!」と、すぐに威勢のよい声が返ってきました。
「二人で食べる場合、一匹でも大丈夫ですか?」と尋ねると「そりゃ、二匹がいいな」ということで、二匹購入。
おすすめされたのはいいけれど、この魚のさばき方のコツも聞いてくればよかったと後悔しつつ、戦利品を持ち帰り、解体ショーの残像を頼りに見よう見まねで何とか自分でおろしました! 一から自分でさばいたホウボウの味は格別! 鮮度抜群で身がプリプリ。いままで味わったことのないくらい絶品でした。
ちょっと見た目が変わっているホウボウとの出会いは、市場でのコミュニケーションがあってこそ。おすすめを聞かなければ、きっといまだにホウボウのおいしさを知らずにいたでしょう。
新しい魚との出会いに感激ひとしお。いつか市場の通になって、魚の通にもなりたい!
まとめ
切り身や冊でしか見たことがない魚たちが、水揚げされたばかりの姿で並ぶ魚市場の風景は圧巻です。鮮度のよい魚に出会えるのはもちろんのこと、荒井さんの言う「市場の通」になって調理法や食べ方を教えてくれる魚のプロたちとのコミュニケ―ション市場ならではの醍醐味。
市場で働く方々は魚に関する豊富な知識を持ち、訪れる人々に魚のいろんな魅力を伝えてくれています。今回の体験では、プロに教えてもらった旬の魚が食卓に並び、家族と舌つづみ。魚の奥深さに触れるとともに、進化する市場体験から、食がもたらす豊かな生活の大切さを再認識しました。
これも横浜暮らしの魅力ですね。
【基本情報】
「横浜市中央卸売市場 本場」
住所:横浜市神奈川区山内町1番地 横浜市中央卸売市場本場水産物部
URL: https://www.city.yokohama.lg.jp/business/kigyoshien/chuoshijo/promotion/gyoshokufukyu.html