「横浜市」と聞くと、高層ビルが立ち並ぶみなとみらいや、洗練された都会的な街並みを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、実際に横浜に暮らす人にその魅力を尋ねると、「緑が多い」「自然が身近にある」といった声がよく聞かれることも少なくありません。
横浜は利便性に優れた大都市でありながら、緑地や農地が市内各所にあり、落ち着いた暮らしを求める人にとって魅力的な側面もあります。本記事では「都会だけど案外田舎」そんな横浜の隠れた一面を紹介していきます。

目次
横浜市に“田舎”はある? 都会だけじゃない横浜市の魅力
横浜の「田舎」とは、どっぷり深い自然に囲まれた、いわゆる「リアルな田舎」とは少し異なります。都心へ通勤しながらも、住宅街のすぐそばに緑地や畑が広がり、直売所で近隣で採れた野菜が手に入る。休日には公園や緑地で、気軽に自然に癒やされる。そんな日常の中にさりげなく溶け込む「田舎らしさ」が特徴です。
こうした環境は、横浜市内に点在しており、便利さも重視しながら、落ち着いた暮らしを楽しみたい人にとって、「ちょうど良い」と感じられるバランスかもしれません。
数字で見る!横浜市の自然環境
横浜市の「田舎らしさ」は、イメージだけの話ではありません。農地の割合や緑地の広がりといった数字を見ると、横浜市が大都市でありながら、一定の自然環境を維持していることがうかがえます。
ここでは、客観的なデータから横浜市の自然環境を確認していきます。
農地の割合で見る“田園風景”の残るエリア
横浜市には、市域面積の約7%にあたる約2,850ヘクタールの農地があります。(2020年時点)(これは、神奈川県内で1位の農地面積です。)農地は市の北部から南西部にかけて多く分布しています。
特に農地面積が大きいのは、
・泉区:約414ヘクタール
・都筑区:約343ヘクタール
・青葉区:約313ヘクタール
このほか、緑区(約307ヘクタール)、戸塚区(約281ヘクタール)、旭区(約271ヘクタール)、瀬谷区(約225ヘクタール)などが挙げられます。
これらの地域では、住宅地のすぐそばに畑や田んぼがあり、直売所や朝市が数多くあります。統計上の分布からも、横浜市が「都市と田園が近接して共存する街」と表現される背景が見て取れます。

緑地・自然環境の割合
自然環境を語るうえで欠かせない指標が、樹林地や草地などの緑に覆われている割合「緑被率*」です。2019年度の横浜市全体の緑被率は27.8%とされており、緑区、栄区、泉区、旭区、戸塚区では40%を上回っています。
*緑被率:航空写真から300㎡以上のまとまりのある緑を目視判読し、市域面積に占める割合を算定するものです。
泉区では農地や田園風景が今も暮らしの中に残り、栄区では谷戸や雑木林といった里山の景観が各所に見られます。また、緑区は住宅地の中に斜面林や比較的大きな緑地が点在し、瀬谷区は農地や河川沿いの緑地が多く、開放的な田園風景が特徴とされています。戸塚区は区の面積が広く、丘陵部や河川沿いを中心に自然環境が残されています。
同じ横浜市内でも、エリアごとに異なる形の「田舎らしさ」が感じられます。
横浜市で”田舎暮らし”ができるおすすめのエリア3選
横浜市は緑地や自然環境が比較的多く残る都市です。その中でも特に自然を身近に感じやすいエリアがいくつか存在します。この章では、自然の近さを感じながら「田舎暮らし」に近い日常を実現できる横浜市の3つのエリアを紹介していきます。
泉区
泉区は、横浜市内でも特に農地や緑が多く残るエリアです。畑や田んぼが住宅地のすぐそばに広がり、用水路や雑木林など、昔ながらの田園風景が日常の中に溶け込んでいます。市内でも有数の農地面積を持ち、区内には直売所やJAの店舗(「ハマっ子」など)があり、地産野菜を購入することができます。
また、「泉の森ふれあい樹林」をはじめ、谷戸や里山の自然を活かしたスポットが点在しており、特別な装備がなくても、散策や自然観察、水辺でのんびり過ごすといった楽しみ方が可能です。日常の延長線上で自然を楽しみやすいエリアと言えるでしょう。
泉区の中心駅であるいずみ中央駅には相鉄いずみ野線が乗り入れており、横浜駅までは約30分、渋谷までは約1時間前後でアクセスできます。このほか、横浜市営地下鉄ブルーラインの立場駅や下飯田駅など、エリアによって複数の路線を使い分けられる点も特徴です。

瀬谷区
瀬谷区は、横浜市の中でも比較的平坦な地形が広がり、農地や公園、河川沿いの緑が身近に感じられるエリアです。大規模な山林が広がる自然というよりも、川沿いの散策路や公園が点在し、自然と住宅地がバランスよく調和しています。
区内には「瀬谷市民の森」をはじめ、雑木林が残る里山的な環境があり、散策や自然観察を日常の延長で楽しむことができます。
瀬谷区は2023年に相鉄線が東急線へ相互直通運転を開始したことで、都心へのアクセスも向上しました。
瀬谷駅からは相鉄・東急新横浜線を利用し、渋谷方面へも1時間前後でアクセス可能です。落ち着いた住環境と都心通勤の利便性を両立しやすい点も、瀬谷区の大きな特徴として挙げられます。
2027年には「GREEN×EXPO 2027」の開催も予定され、大注目のエリアです。

栄区
栄区は、今回紹介する3つのエリアの中でも、特に里山的な自然が色濃く残る地域です。南側で鎌倉市と隣接しており、鎌倉の山林と連続する地形を背景に、谷戸や雑木林といった景観が現在も見られます。
区内には、本郷ふじやま公園や瀬上市民の森、いたち川沿いなど、自然に親しめるスポットが点在しています。瀬上市民の森からは、谷戸や尾根道を通って鎌倉方面へと続く天園ハイキングコースにも接続しており、市街地の喧騒から離れた落ち着いた環境を味わうことができます。横浜市内にいながら、深い自然を体感できるエリアと言えるでしょう。
交通面では、本郷台駅からJR根岸線を利用して横浜方面へ約20分。隣の大船駅を利用すれば、横須賀線や東海道線に接続でき、都心方面へのアクセスも良好です。

横浜市の自然豊かなエリアで暮らす魅力
忙しい日々の中で、多くの情報やストレスにさらされた時、身近な自然に触れることは、気分転換やリフレッシュのきっかけのひとつになります。自然豊かな環境で暮らすことは、特別な休暇を取らなくても、日常の中で気持ちを切り替えやすいというメリットにつながることがあります。
その一方で、通勤や買い物の不便さが新たなストレスになっては本末転倒。都市機能と穏やかな自然環境が共存するエリアは、無理のない暮らし方を検討しやすい選択肢と言えるのかもしれません。
この章では、横浜の自然豊かなエリアで暮らす魅力を、3つの視点から紹介します。
気軽にアウトドアを楽しめる
これまで紹介してきた自然豊かなエリアの魅力は、アウトドアが暮らしの中に自然に溶け込んでいる点にあります。しっかり装備を整えて遠出をしなくても、自宅の近隣に散策路や小さな里山、川沿いの遊歩道が広がる。そんな環境がストレスフリーに満喫できるのは、このエリアならではの利点でしょう。ロードバイクやランニング、カメラを持っての自然散策など様々な趣味が世代を超えて楽しめます。
また、横浜のアウトドア環境は整備された歩道や公園が多く、体力や経験を問わず無理なく取り入れられる場所が充実しています。一方で、もう少し本格的に楽しみたいときには、丹沢山地や箱根、三浦半島といったエリアへも、おおむね1時間前後でアクセス可能です。

子どもが遊びながら自然環境について学べる
子育て世代にとっても、自然環境が身近にある暮らしは大きな魅力の一つです。日常の遊びの中で、子どもは自然から多くのことを学び取っていきます。公園や緑地では、草花や昆虫、水辺の生きものに触れる機会が自然と生まれ、そうした体験を通して、環境への関心や理解が育まれていくことが期待できます。
見る、聞く、触れるといった五感を使った遊びや、起伏のある道を走ったり歩いたりする体験は、子どもの身体感覚を豊かにするきっかけになります。横浜市内には、遊具と自然環境がバランスよく配置された公園や、雑木林や里山の雰囲気を残した緑地が点在しており、日常のすぐそばで自然との体験を積み重ねることができます。
また、子どもが思いきり体を動かせる環境があることで、親にとっても気持ちにゆとりが生まれます。
身近な自然は、子どもの成長だけでなく、家族の暮らし全体を静かに支えてくれる存在と言えるでしょう。

都心へのアクセスが良い
横浜市の自然豊かなエリアは、自然環境に恵まれながらも、都心へのアクセスも確保できます。交通の拠点となる横浜駅には複数の路線が乗り入れており、瀬谷区・泉区・栄区・金沢区といったエリアからも、横浜駅へはおおむね30分前後でアクセスできます。
横浜駅を起点に都内各所への移動もしやすく、瀬谷駅やいずみ中央駅からは、相鉄・東急新横浜線を利用すれば、渋谷駅まで1時間前後で移動が可能です。また、大船駅からはJR東海道線や横須賀線を利用し、品川駅まで30分台後半〜40分前後と、通勤圏として十分現実的な距離に収まります。
駅からやや距離のある住宅地では、バス路線が生活動線として機能しており、鉄道と組み合わせることで、より静かな住環境を選ぶ余地も広がります。
筆者の推し!横浜市で田舎気分を味わえる癒しスポット
筆者自身、身近に自然を感じられる静かな環境を求め、都内から横浜へ移住してきました。人にあまり知られていないコスパの良い場所で、かつ横浜らしい眺めの住まいはないだろうか。そんな中で出会ったのが、磯子区の物件です。
丘の上に建つ古いマンションで、家賃は都内と比べて比較的手頃、そして窓の外には港の風景が広がっていました。近隣を歩くと丘の尾根に沿って続く景観や、細い坂道の先にふと現れる海の眺めを楽しめます。緑に癒されたい時には梅で有名な久良岐公園や、少し足を伸ばせば広い芝生の根岸森林公園がありました。

駅まではバス利用で、最後は坂を上る必要があり、利便性の面では多少の割り切りもありました。それでも、周辺にはスーパーやドラッグストア等があり日常生活で不便を感じることはありません。磯子駅から横浜駅まではJR根岸線で約15分、自宅周辺から上大岡方面へのバスも運行しており、移動にも次第に慣れていきました。
長年、海の見える暮らしに憧れてきた筆者にとって、横浜にこんな穴場な住環境があることは意外な発見でした。横浜市内には、利便性と自然のバランスが取れた、あまり知られていないエリアが残っているのです。
まとめ:横浜市は田舎と都市のいいとこ取りができる街。
ここまで、横浜市の中で「田舎気分」を味わえるエリアと、その魅力について紹介してきました。私たちが「田舎らしさ」を感じるのは、自然が身近にあり、街にゆとりと静けさがあり、人々の暮らしのペースが穏やかなときではないでしょうか。横浜はそんな田舎らしさが健在な貴重な大都会と言えるかもしれません。
自然を感じるために、わざわざ遠くへ出かける必要はありません。落ち着いた環境で暮らしながら、都心へのアクセスも無理なく確保できる。そのバランスの良さこそが、横浜市の大きな魅力です。
オンとオフをしっかり切り替え、仕事もプライベートも豊かにしたい。横浜には、そんなわがままな願いを叶えてくれる場所が、きっと見つかるはずです。
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